「見切り発車」修行場。二次創作、オリジナルに関わらずジャンル混合短文置き場。 版権元とは一切関係ありません。
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ペルソナ3 12月31日の選択の時。
ネタ未満。
ネタ未満。
「僕を殺すことに抵抗を覚える必要はないんだよ?」
目を伏せたまま綾時は言葉を紡ぐ。
「きみはただ、存在してはいけないものを、存在するはずがないものをあるべき姿に戻すだけでいい。それだけなんだ」
彼とは視線を合わせない。綾時は彼が視線をあわせることを嫌うのを知っている。彼の内側から彼の視線を見てきているから知っている。
「僕を、殺せばいい。僕に憐れみを覚える必要はないんだ」
「自惚れるな」
綾時の独白を黙って聞いていた彼が、鋭く世界を遮った。
瞬間、綾時は彼に胸倉を掴まれて乱暴に引き寄せられていた。視線が重なる。彼の顔が近い、あと少しで触れてしまいそうなほど。
「お前を殺すことを躊躇っているんじゃない」
長めに伸ばされた髪の間から隠されることなく覗く彼の目が、綾時を掴んで放さない。
「これは、僕が決めたことだ。死の運命に立ち向かうと決めた、僕たちの選択だ。たとえお前が人でなくても、初めて会ったときのかつての姿であっても、意思を持たない存在であっても―――僕はお前を殺さない」
唇を開くと共に微かに届く彼の吐息は、少しだけ震えていた。
―――――
「自惚れるな」が言わせたかっただけといえば、それだけ。
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