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「見切り発車」修行場。二次創作、オリジナルに関わらずジャンル混合短文置き場。                                         版権元とは一切関係ありません。
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 小話を、書いてしまいました。
 長い長いスランプの途中なのに、サークルのほうの原稿締め切りがあるのに・・・(笑

 アリアンロッド・リプレイ・ルージュ
 大首領とトランと・・・4巻ネタばれ上等。




 己が与えた数年と、彼女が与えた数ヶ月の、どちらがここまであの者を成長させたのだろうか。

 恐らくは、それを直接彼に尋ねれば、きっと困った顔をして慌ててしまうのだろう。
 任務のためなら非情にもなれるはずのあの男は、しかし同時に任務といえども人の心を感じることができる者であったから。

 優しすぎたのだ。

 教育係がよすぎたからか、彼の置かれていた組織の環境がそうさせたのか、それとも――
 彼が任務で行動を共にした、彼女たちの心がそうさせたのか。

 ――ノエル、優しい娘。

 あの時手を離したことを、常に後悔すると同時に安堵していた。
 一瞬でも判断が遅れていれば、きっと彼女もまた父と同じ運命を――いや、それ以上の仕打ちが待っていたかもしれない。たとえ教皇の手引きで共に逃げ出せたとしても、日の当たる場所を歩くことは出来ようはずも無い。
 それでも――手を離したことを、後悔せずにはいられなかったのだ。
 しかしそれも、今となっては過去の話だ。
 ノエルの成長を、報告から聞き及ぶたびに――涙が溢れそうになった。
 彼女は、確かに今元気に生きていると。いい子に育っていると。

 そして同時に――己が生み出した存在もまた、彼女によって少しずつ成長していると。



「偉大なる悪の組織ダイナストカバル――極東支部長トラン・セプターよ」

 誰にも聞かれることの無い言葉を、ぽつり、呟き始めた。

「よくぞ、やってくれた。これまでのお前の働きは――どれだけ余が頭を下げても足りぬくらいだ」

 直接頭を下げられたならば”彼”が困惑し、動転する姿が見られただろう事は、簡単に分かる。

「イジンデルを救い・・・そして、ノエルに・・・どれだけのことをしてくれたか」

 そっと目を伏せた。

「余は、あの子を守ろうとしていたつもりが――逆に我が部下に、どれだけ影響を与えてくれたのだろうな・・・それとも、その結論が、これか」

 唇をかみ締める。

「余はあの子を守らねばならぬ。・・・余が直接出て行くことが出来るのならば、どれ程よいことか・・・!」

 拳を握り締めた。

「これより早急に創らせる人造人間は、きっとお前に匹敵するほどの能力を持つであろう・・・しかし、しかしだ。あの子の心まで、守ってやることが・・・果たしてできるのだろうか。どれだけ知識はあれどもその精神は赤子にも等しい・・・お前のように心を教えこむような時間はないのだ・・・」



 今はダイナストカバル大首領と呼ばれる男は、娘が作った彼の眠る地に手を伸ばし、祈るように、搾り出すように、その言葉を。

「トラン・セプターよ。最後の命令を与える――どうか、新たにノエルを守る生命に・・・お前が創り上げた”こころ”を少しでも伝えてやってくれ・・・」



 唯でさえ己の都合で生み出した人造人間に、そのような要求をすること自体が一つの驕りであるのだろう。
 だがそれでも、祈らずにはいられないのだ。

 どうか、彼の積み上げてきた心が無駄にならぬように。
 どうか、新たに生まれる生命が心を知らぬままで終わらぬように・・・。






―――――
 やっちまった・・・シリアス大首領・・・(ありえない
 彼の「きおくかいろ」が組み込まれた理由。・・・墓暴きとか言っちゃダメ(笑
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